五十一歳の現代人・久住宗介は、気づけば戦国の小城・笠森城にいた。
そこは尾張・美濃・三河の大勢力に挟まれた、名もなき小領主の城。若き城主・片瀬弥四郎は、必死に城を守ろうとしていたが、足軽たちは飢え、兵糧は乱れ、水も薪も足りず、城は敗走寸前に追い込まれていた。
宗介に剣の腕はない。槍も振れない。武将でも軍師でもない。
だが彼には、現代で培った物流、配送、食糧管理、現場段取り、人の動かし方を見る目があった。
米を炊き、粥を配り、味噌握りを作り、水と薪を回す。
ただそれだけで、倒れかけていた足軽たちの目に力が戻っていく。
刀は振れない。
だが、腹を満たせば兵は立つ。
一人の兵糧係が、小さな城の台所から戦国の流れを変えていく。