かつて世界を破滅の危機から救った伝説の大魔術師、カイ・レイジーロード。
彼が三千年の時を経て今、心から望むもの――それは、誰にも干渉されない「平穏な隠居生活」だった。
その目的のため、カイは正体を隠し、規格外の力を完全に封印。「魔力ゼロの落ちこぼれ」として王立魔術冒険者学園に入学する。誰からも期待されず、注目もされない空気のような存在になる…はずだった。
しかし、入学式で発生した魔術暴走事故で、彼の計画は脆くも崩れ去る。
後々の面倒を避けるため、指を鳴らすだけの最小限の労力で、誰にも気づかれずに事態を収束させたカイ。
だが、その神業めいた一瞬を、公爵令嬢でエリート美少女のエリアーナだけは見逃さなかった。
カイのやる気のない行動を「神話級の無詠唱魔術」と盛大に勘違いした彼女は、彼の前にひざまずき、熱に浮かされた瞳で懇願する。
「師匠!
どうか、この私を弟子にしてください!」
一人の勘違いをきっかけに、やる気ゼロの最強魔術師の周りには、エルフの王女や聖女候補など、なぜか次々と才能豊かな美少女たちが集い始める。
平穏を望む彼の意思とは裏腹に、カイは否応なく学園、そして世界の運命を左右する巨大な騒動の中心へと巻き込まれていく――。