クリィヌック王国史に女傑として名を残す、ニコール・フォン・プランテッド。
彼女は貴族制の時代にあって身分を問わず有能な人材を取り立て、自領はおろか王国も大いに発展させたと後世に伝えられている。
しかしその実態は、「そのうちなんとかなるだろう」が口癖の、大体万事人任せな無責任令嬢だった。
ただ、本当に何もかもが無責任だったというわけでもなく、なんとかしようと人々に思われるだけの人物でもあった、らしい。
ノリと勢いで調子のいいことを言い、そこに愛嬌とほんのり思いやりを匂わせて、人もトラブルも来るもの拒まずと受け入れ懐に入れてしまう。
それらが上手いこと噛み合って人をたらしこみ、その懐に取り込んでいってはその人材が彼女の窮地を救う。
それの繰り返しで、彼女はなんとかしていった、らしい。
これは、そんな彼女が王国に襲いかかる魔の手を薙ぎ払う英雄譚、というわけではなく、何となくなんとかしながら周囲を幸せにしていく物語である。
※以前投稿しました短編とは、長編の構成の関係上、設定が違う部分がございます、ご了承ください。