公爵令嬢セシリア・フォン・ローゼンベルクは、乙女ゲームの悪役令嬢として必ず凄惨な死(バッドエンド)を迎える運命にあった。
特待生でありサイコパスな知略を持つ光のヒロイン・アリスによって、幾度となく罠にかけられ、理不尽に殺されるセシリア。
だが、彼女の背後には一人の『怪物』が控えていた。
前世で限界オタクだった影の従者、エスター。彼はただのモブでありながら、「セシリアが死ぬと時が巻き戻る」能力を持っていた。
「——ああ。また、推しが殺された。今度こそ、あいつらの人生を完璧に全損させよう」
幾千ものループの中で絶望と死を反復し、倫理観と正気が完全に摩耗したエスターは、現在のループにおいて冷酷無比な『完全犯罪の作り手』として覚醒する。
アリスが仕掛ける巧妙な毒殺トリックに対し、エスターは裏で証拠を完全にすり替え、逆にアリスたちが王族暗殺の大逆罪人として自滅する最悪の罠を構築する。
原作の知識?
隠しボス?
チート能力?
——そんなものは、実際にそのギミックに殺されまくった『実体験』の前では児戯に等しい。エスターは盤外から介入してくる他の転生者すらも、冷酷な作業のように粉砕していく。
しかし、エスターは気づいていなかった。
絶対に自分を見捨てず、底知れぬ狂気で自分を救い続けるその姿を見て——最推しであるセシリアが、恐怖を通り越して彼に「重すぎる依存と独占欲」を抱き始めていることに。
「あなたは私のものよ、エスター。もう私の視界から一歩も出ないで……」
これは、最推しを救うためならどんな血も厭わない狂気の従者と、その狂愛に当てられて病んでしまった悪役令嬢による、最高に血みどろなハッピーエンドの物語。