こことは違う世界。世界の始まりの神ーーーの庭に主人公は生まれ落ちた。
大陸の大半を占める広大なヴァイデンライヒ王国の国境沿いにある山村。よくある辺境の寒村に住む村人達は皆、茶色い髪に茶色い瞳。しかしその少女だけが白銀の髪に青銀の瞳。
彼女は村長一家の虐待から家出をし、しばらく白い狐と山で過ごしていたが、ある日村人達に捕まって奴隷として売られてしまったところから物語は始まる。
彼女には前世の記憶があった。決して幸せではない記憶。でも生きていくには申し分ない教訓。それは白い狐により齎されたものだった。
どうして家族に恵まれず、愛に臆病なのか。どうして転生し、ここにいるのか。全てには理由がある。
少女は王国で出会った貴族達との触れ合いで少しずつ愛を知っていく。だが彼らとは生きてきた常識も価値観も違う。敢えて空気を読まない不遜な少女は王国人達に波乱を巻き起こしていくことになる。
私は私の心に従う。邪魔をするならば容赦はしない。だからこれは……私の欲なの。