ルールは「詮索しないこと」。あたたかな夕飯が、ふたりの恋を育んでいく。
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箕島麻貴(みしまあさき)の一人暮らしの部屋は、ひと言で言えば荒れていた。
成績さえ落とさなければ自由。その条件で手に入れたはずの「ひとりの城」は、コンビニ袋と洗い物で埋まっていた。
そんな麻貴の城は、ある日いきなり避難場所となってしまう。
同じクラスで清楚可憐な美少女──篠宮汐織(しのみやしおり)が、放課後だけ麻貴の部屋に逃げ込んでくるようになったのだ。
家で、ご飯を食べられないから。
「いつも迷惑じゃない?」
「迷惑なら、とっくに追い返してるよ」
「……箕島くんって、やっぱり優しいね」
「うるさいな。ほら、台所なら好きに使っていいから。自分で美味いと感じるもん好きなだけ作れば」
詮索はしない。その代わり、夕飯を作ってもらうことに。
そんな不器用な契約から始まる、同居未満〝夕食〟の関係。
作り置きの味噌汁が増えていったり。
買い出しに二人で行くようになったり。
食器を拭く手元が、いつの間にか揃っていたり。
親友に嗅ぎつけられて茶化され、麻貴が思わず線を引いて守ってしまったり。
そして汐織が、ときどき「帰りたくない日」を、笑ってごまかさなくなる。
最初は遠慮だらけだった汐織は、少しずつ甘えるようになって。
最初は面倒ごとを避けていた麻貴は、少しずつ彼女を懐に入れてしまうようになる。
これは、夕飯がきっかけでふたりの孤独をほどいていく、同居未満夕飯以上の救済ラブコメ。
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