かつて王国最強と呼ばれた英雄アレインは、反逆者として処刑された。
王命により守るべき民を切り捨てられ、すべてを奪われた末の最期だった。
――だが、彼は死ななかった。
死霊王として蘇ったアレインは、自らを裏切った王国へと復讐を果たす。
王都は陥落し、王は討たれ、王国は崩壊した。
それですべてが終わるはずだった。
しかし。
復讐を終えた死霊王は、そこで歩みを止める。
かつて滅ぼされた自らの領地グランデールを、アンデッドの手で再建し、“死者の都市”として静かに統治し始めたのだ。
一方で王国は、勇者レオンを中心に再建を進めるが、教会勢力の介入によりその姿を大きく変えつつあった。
さらに魔王軍も南方を占領しながら、死霊王の存在を警戒して動きを止める。
――王国、魔王軍、そして死霊王。
三つの勢力が睨み合う、奇妙な均衡の時代。
戦いは終わっていない。
だが、誰も動かない。
復讐を終えたはずの男が、次に選ぶものは何か。
そして均衡が崩れる時、世界は再び動き出す。
これは、すべてを失い、すべてを取り戻した“元英雄”が、死霊王として歩むその後の物語。