高校2年生、竜胆
楓(リンドウ
カエデ)の朝は戦争だ。
通学路14キロの農道で、彼は毎日、集落の命綱である本数の少ないバスとのデッドヒートを繰り広げている。
敗北すれば、待っているのは母が運転する昭和製の2tトラック、通称『青い彗星』による爆音送迎だ。田舎の中でも最奥地であるこの場所で、楓の周りに小説のようなイベントは起こらない。
彼はすでに原付免許を持っている。それは田舎の高校生にとって、異世界チートに匹敵する最強の移動スキルのはずだ。
しかし、彼はまだ相棒(原付)に乗ることができない。そこには北海道ならではの、乗り越えられない地理的・気候的な壁が存在していた。
新学期、彼は現状を変えようと無謀にも徒歩14キロ帰宅を敢行するが、北海道の4月は春では無い、桜も咲かないのだ。
淡い希望を抱いた部活動の恋も、始まる前にまさかの事態に直面し――。
美少女もチートもない、ど田舎に翻弄される少年が、泥まみれの日常で青春を掴み取ろうと奮闘する、北海道発の青春コメディ!