平凡な家庭に生まれたルウナ=アークライトは、幼少期にとある宮廷魔導師に救われたことから、自分も人を助けられるような宮廷魔導師になることを決意する。
魔導師の家系でもなく、名門の出自でもない彼女は、血の滲むような努力と苦労の末、遂にこの国で十三人しか名乗ることを許されない宮廷魔導師の試験に合格した。
子供の頃の夢を叶え、世界有数の大国であるアルタイルに仕える魔導師として働くこととなったルウナ。
だが、現実は彼女をあっさりと裏切る。
日々押し付けられる大量の雑務。
あまりにも無茶な、嫌がらせのような依頼。
慣例という名の理不尽、不合理。
悪意と闇にまみれた派閥社会。
そこに、かつて彼女が憧れた世界は存在しなかった。
優秀ではあったが、穏やかで優しく、気弱な性格の彼女は、そんな黒い世界にだんだんと心を病んでいく。
そんな折、ある事件を起こしてしまった彼女は、"落ちこぼれ"の烙印を押されてしまう。
いつしか完全に心も折れ始め、宮廷魔導師の仕事を辞めようかと考えるルウナであったが、試験の合格を泣いて喜んでくれた両親や、子供の頃の夢をどうしても諦めたくなかった彼女は、必死に自分を騙しながら、なんのために、誰のためにやっているのかも分からない業務を日々こなし続けた。
そんなある日、いつものように深夜に仕事を終え、ふらふらになりながら帰宅すると、玄関の前に何故か男が倒れていた。
彼女はまだ何も知らない。
この出会いが、彼女の人生を一変させるものになるということを。
これは、どん底にいるそのニ人が再び世間に認められ、ついでに世界を救うかもしれない、そんな物語。
※注意
基本毎日更新。
一人称視点、三人称視点あり。
カクヨム同時掲載。