「……サイズが合わない。測り直す」
魔法の呪い?
悪魔の仕業?
――いいえ、ただの室温操作による死亡推定時刻の偽装です。
かつて優秀な侍医の家系だったルシルの実家は、ある政変の夜、権力者たちの「嘘の記録」によって暗殺の濡れ衣を着せられ、没落した。
すべてを奪われた彼女は現在、異端審問局の薄暗い地下で「記録官」として裏仕事をしている。
粗末な修道服に身を包み、常に無表情。口を開けばタメ口の塩対応。
おまけに極度の方向音痴で、世話焼きの若手騎士・エリオットがいないと食事すら忘れて行き倒れる、生活能力ゼロのポンコツ少女。
(※ただし内心は「わぁっ、この大腿骨のカーブ美しいですわ!」とテンションが上がる、生粋の骨格オタク)
だが、ひとたび事件現場に立てば、彼女は絶対的な「検視官」へと変貌する。
権力者たちが保身のためにでっち上げる「密室」や「呪い」といった雑な嘘。
ルシルは特注の真鍮メジャーを指に巻き付け、圧倒的な解剖知識とミリ単位の物理的矛盾から、隠された真実を次々と暴き出していく。
「生きている人間は平気で嘘をつく。でも、死体(事実)は決して嘘をつかない」
これは、嘘の記録に人生を焼かれた少女が、
冷たい真実(データ)だけを武器に、巨大な組織の陰謀と歴史の改ざんに立ち向かう――法医学ファンタジーミステリー!