両親を事故で亡くし、弟のさとると共に祖父の代から続く小さな商店を切り盛りする二十六歳のちほ。
ネット通販や少子高齢化で厳しくなる店を立て直すため、地元農家の野菜をネット販売するなど、毎日忙しく働いていた。
そんなある日、早朝の出荷準備中に、従業員のミカミが運転するトラックに轢かれそうになる。
しかし、そこでちほが目を覚ましたのは、真っ白な謎の空間だった。
そこで聞かされた衝撃の事実。
なんと、いつも配達をしていたミカミは神だった!
しかも今回の転移は事故だったらしく、元の世界へ戻すための手続きが終わるまで、異世界でゆっくり過ごしてほしいと言われてしまう。
さらにミカミから、異世界で生きていくために「鑑定」と「無限収納」の力を与えられた。
こうして、ちほの異世界生活が始まった。
森の中に用意された小屋で暮らすことになったちほだったが、そこで思わぬ異変に気づく。
ミカミから貰った、学生時代から大切にしていた布製の鞄。
その中を覗いてみると――
なんと、そこには元の世界にある自分の部屋が映っていた。
さらに、鞄から手を伸ばせば、元の世界の物をこちらへ持ってくることまでできる。
カップラーメンも、鍋も、やかんも持ってこられる。
そして、その鞄を通して――
元の世界にいる弟、さとるとも再び繋がることになる。
異世界から元の世界へは帰れない。
けれど、鞄を通せば実家の商店とは繋がっている。
だったら――
「これって……商売できるんじゃない?」
田舎の小さな商店を守ってきた姉と、元の世界に残された弟。
二つの世界を繋ぐ一つの鞄から、異世界の商売と発展が始まる。