「いますぐ、この場から消え失せろ。この――ヘリオス探偵事務所に、おまえの居場所はない」
冷たい雨が降りしきる夜の出来事であった。
事務所の花形、名探偵のギル・フォックスは一人の青年に追放を下す。
青年の名は、ハロウ・オーリン。見習い探偵である。
誰にも引き留められないまま、ハロウはひとり事務所を飛びだした。
そして直後、名探偵は事務所のなかで不可解な死を遂げる。
鍵のかかった一室で、両目をえぐり取られて死んでいたのだ。
当然、容疑はハロウに向けられた。
自らの疑いを晴らすべく、彼は街なかを逃げまわりながら真犯人を突き止めようとするが……。
【最悪な僕が名探偵となった――はじまりの物語】