もしも道行く野良猫が、百戦錬磨の獣戦士だったら。もしも冴えないサラリーマンが、戦争上がりのアンドロイドだったら。実際のところ、そんな空想めいた素性をもって、陰ながら地球を守っているのが、我ら新興文明保護艦隊のエージェントたちです。
アロメダ合星国が誇る巨大組織、新興文明保護艦隊は日常に溶け込みつつ、迫るエイリアンの脅威から現地の住民を保護しています。まあ、そのついでに少しばかり観光事業で儲けさせてはもらっていますが……それはさておき。
これは、そんな組織に属する、とあるエージェントのお話です。彼、アンドロイドのCRR-99Rはエージェントに就任するよりも以前に一度、十数年分の記憶を失ってしまいました。もちろん、第一には真面目に働くつもりで新興文明保護艦隊に入隊したわけですが、そのついでに……昔、記憶を失う前の自分に良くしてくれた、恩人を探して地球を訪れたんですね。
地球支部は日本国、文化的にも豊かな奈良県奈良市に配属された彼の経験は、新興文明保護艦隊の活動を知るのに最も適していると……誰かが判断したのでしょうか。彼に関する記録と、彼の記憶は、今こうして、一つのシナリオとなって、貴方の元に届けられました。それを、最後まで見届けるかどうかはあなた次第ですが、どうか、これだけは覚えておいてください。
あなたがこのシナリオからどのような物事を読み解き、あなたの意思がいかなる結論を迎えることになったとしても……
アロメダ合星国及び、我ら新興文明保護艦隊は、ここで変わらず、あなたの入隊を心待ちにしています、と。
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最終話までプロット完成済み。
没になった自作TRPGの世界感を踏襲した作品になります。
そのため、伝わり辛いTRPGネタや、SFネタが数多く登場します。
ご了承ください。
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第一回アニセカ小説大賞応募作品。
また、本作はカクヨムにも掲載しています。