三人の兄と甥、そして父王を相次いで失い、十七歳の王女アイリスは望まぬ玉座に座らされた。震える手で王冠を受けた翌日、宰相が告げたのは「王配を半年以内にお決めください」。候補は五人。冷たく厳しい宰相の息子。華やかで洗練された隣国の公子。誰より優しい初恋の人。強引だが嘘のない若き侯爵。植物を愛する穏やかな再従兄弟。アイリスの武器は、ただ一つ。王宮の図書室で「暇つぶし」に読み漁った膨大な書物から得た知識。王国の故事を引き、数字を読み、外交条約の罠を原語で見破り、「末の姫に何ができる」と嘲笑う者たちを一人ずつ黙らせていく。だが──最も信じたかった人の優しさが、全て嘘だと知った時。泣くことしかできなかった少女は、女王の顔で玉座に立つ。
取得