ここは、さまざまな種族が生存する世界。
主人公、ベルメルシア家の御令嬢アメジストの種族は人族(ひとぞく)。
生まれてすぐに母を亡くした彼女は、優しい父と長くベルメルシア家に従事する祖父のような存在の執事、素敵なお手伝いたちに囲まれ過ごす。が、しかし……日々は『穏やかだ』とは決して言い難いものであった。
――その原因は、継母の存在。
躾と称した暴言などの数々……それは彼女に対してだけではなく屋敷で働くすべての者たちにも及び、次第に皆の心は荒んでいった。
そんな中、彼女は『自分の信念だけは曲げない、正しいと思う道を歩む』と強い意志を持って成長。辛いことばかりだった彼女の性格は温厚で、慈悲深く困っている者がいれば誰であろうと助け、種族関係なしに皆仲良しでいられる世界を、と願い日々を過ごす。
彼女が十六歳になってから数ヶ月……とある大雨の日のこと。
帰路の途中、ふと馬車の窓から見えた怪我人(幼い子)を助けていた。その後、一緒に乗っていたアメジストの教育兼お護り役の協力で瀕死状態であったその子は、ある方法で助かる。
それがきっかけのように――この日から彼女の人生は信じられない程に大きく変化し、ほんの数日間が数年にも思えるくらい心身ともに成長していく濃い出来事を、経験するのであった。
(R15はほけんです)
◆第2回ドリコムメディア大賞一次選考通過作品
※こちらの作品はカクヨム様、アルファポリス様でも掲載中。