王太子からいわれのない罪で婚約破棄され、魔物が蔓延る北の辺境へと追放された公爵令嬢セラフィナ。
周囲は絶望する彼女を哀れんだが、前世が重度の「機械エンジニア(モノづくりオタク)」である彼女の内心は歓喜に震えていた。
鬱屈とした王太子妃教育から解放され、古代ゼニス帝国の遺跡が眠る辺境で、大好きな機械いじりがし放題なのだ!
意気揚々と辺境伯城に乗り込んだ彼女を待っていたのは、強力すぎる魔力が暴走し「化け物」と恐れられる大公レオンハルト。
しかし、血走った眼で彼を観察したセラフィナは歓喜の声を上げる。
「出力五万マナオーバー!?
なんて純度の高い極上エネルギー!
閣下、今日から私の『専用バッテリー』になってくださいな!」
恐ろしい呪いを「ただの配管ミス(初期不良)」と一蹴し、自作の巨大シリンダーで大公の暴走魔力を美味しく回収(メンテナンス)するセラフィナ。
大公をポータブル電源にし、隻腕の騎士にロマン溢れる魔導義手を接続し、果ては古代の殺戮兵器にオイルを差して餌付けする始末。
常識人の護衛騎士がツッコミ疲れで胃を痛める中、城のメイドや執事たちは「触れたら死ぬ大公閣下を、愛の力で救うなんて尊い!」と盛大な勘違いを加速させていく。
一方、セラフィナが抜けたことで魔導インフラの「こっそりメンテナンス」ができなくなった王都は、結界が崩壊して大パニックに。
慌てて使者が「王都に戻ってこい、魔導具も寄越せ」と身勝手な命令を下してくるが——。