この世の中は、ある日を境に変わった。
原因不明の現象――通称《覚醒》により、人類はそれぞれ異なる“能力”に目覚めた。
炎を操る者、未来を視る者、身体を変質させる者……。
力こそが価値となったこの時代で、能力を持たない者は“無価値”とされる。
そんな世界で、全国学力模試で常に十位以内の天才・神代透(かみしろ
とおる)は、
この日本で弱者の称号である“無能力者”だった。
――いや、正確には違う。
透は、全事の理から外れた存在――“錠剤“を認識できる力を持っていた。
だがそれは既存のいかなる能力にも該当せず、本人すら気づいていないため、
この世界では“無能力”として扱われていた。
――だが、ある日。
異常現象に巻き込まれた透は、“錠剤”を手にする。
錠剤を体内に含んだ瞬間、透は理解する。
この世界に存在する力の正体、そして日本各地に散らばる“十の錠剤”の存在を。
錠剤を含んだ者は、その錠剤の能力を扱うことができる。
だがそれは同時に、この世の均衡を崩す危険な力でもあった。
無能力者だったはずの少年は、
“様々な能力を扱える存在”として覚醒する。
仲間と共に、各地に眠る錠剤を巡る旅。
そこで待ち受けるのは、能力者たちとの戦い、そして終わりへの歪み。
なぜ人類は能力に目覚めたのか。
なぜ錠剤は存在するのか。
すべての錠剤が一つの体に収まる時、
この世界の“本当の姿”が明らかになる。
これは、無能力だった天才が、
能力という概念そのものを支配していく物語。