神世歴523年、宇宙は無秩序に膨張し、惑星が際限なく増殖したことで、神々の手に負えぬ危機が迫っていた。新たな人間を創るコストが天文学的数字に膨れ上がり、ついに「転生」という禁断の制度が発動される——魂を物として再利用し、肉体を継ぎ接ぎする冷酷な解決策だ。しかし、この決断は神々の間に深い亀裂を生んだ。
転生に反旗を翻した神々は、増殖した惑星を殲滅するべく、極端な手段に打って出る。彼らが密かに開発したのは、惑星破壊兵器「BM-124・ブリスマルシェニュークリアス」——自ら思考し、成長する人工知能型の破滅装置。そしてその標的として選ばれたのは、難易度SS級の苛烈な惑星ハールス、オストラン帝国で今まさに誕生の瞬間を迎えようとする第一王女だった。無垢な胎内に埋め込まれたこの兵器は、やがて天界に引き上げられ、神として覚醒する定めを負う。だが、その時は刻一刻と迫り、彼女の運命はすでに破滅へのカウントダウンを始めていた。
この絶望的な計画を巡り、神々の間で壮絶な衝突が勃発する。ブリスマルシェニュークリアスを育て、天界に連れ帰り支配しようと企む神ヤナガ。兵器の覚醒を阻止し、彼女を抹殺しようと刃を研ぐ神フランカ。そして、ブリスマルシェニュークリアスを強奪し、神界に新たな覇権を築こうと暗躍する神エレナ。三者の野望が火花を散らし、幼い王女はその中心で引き裂かれんばかりの重圧に晒される。
誕生の瞬間から、幼い王女は人間としての平穏を奪われた。体内で蠢く破壊兵器は、少女の血肉を蝕み、魂を歪め、純粋な王女を怪物へと変貌させていく。目覚めるたび、惑星を粉砕する力が彼女の手足を突き動かし、心は恐怖と絶望に引き裂かれる。家族の温もりも、民の笑顔も、少女には届かぬ幻と化す。ブリスマルシェニュークリアスの覚醒が近づくにつれ、少女の身体は異形の兆しを見せ始め、時間が残されていないことを冷たく告げる。
果たして、ブリスマルシェニュークリアスは神界への帰還を果たし、破壊の使命を完遂するのか?
神々の争いは第一王女を救うのか、それとも奈落へと突き落とすのか?
第一王女は、この極限の旅路の果てに人間性を掴み取れるのか、それとも怪物として星々を焼き尽くすのか——その答えは、誰もが息を呑む最後の瞬間にしか明かされない。運命の秒針は止まらず、破滅はすぐそこまで迫っている。