平民のアンナには、身分違いの恋人がいた。
相手は、戦闘魔術の名門・ヴァルデン侯爵家の次男エルネスト。
同じ王立学園に通う二人は、いつか家族にも交際を認めてもらいたいと願っていた。
しかし、二人の関係を知った侯爵家から猛反対され、別れることになってしまう。
「研究を完成させて、自分の力で生きていけるようになったら、必ず迎えに行く」
そう約束して別れた直後、アンナに戦闘魔術師として類いまれな才能があることが判明する。
普通科から魔術科へ転科し、訓練を重ねるアンナ。
やがて隣国との戦争が激化すると、自ら戦場へ向かうことを選ぶ。
ところが、配属先で上官となったのは、エルネストの兄レオンハルトだった。
王国最強の戦闘魔術師にして、ヴァルデン侯爵家の跡継ぎ。
初陣で敵の防御陣を打ち破ったアンナに、レオンハルトは思いがけないことを告げる。
「アンナの婚約者に、俺も立候補するよ」
かつて身分の違いを理由に別れさせられた侯爵家から、今度は次期侯爵が求婚してきたのだ。
しかもレオンハルトは、上官としてアンナを支えながら、婚約者候補としても積極的に距離を縮めてくる。
本気なのか、それとも別の思惑があるのか。尋ねても、レオンハルトは笑ってはぐらかすばかりだった。
一方、王都に残ったエルネストは、アンナを迎えに行くという約束を果たすため、人工魔晶石の研究を続けていた。
戦場で次々と戦果を挙げ、王国の英雄と呼ばれるようになるアンナ。
そして、エルネストが研究を続ける人工魔晶石も、やがて戦場でその真価を発揮することになる。
戦闘魔術師になったアンナと、戦闘魔術師にはなれなかったエルネスト。
一度は引き裂かれた二人が、もう一度恋人同士になるまでの物語。