「君に俺を殺してほしい」
「え、嫌です」
婚期を逃し続けていた侯爵令嬢・エメに舞い込んだ婚姻の申し込み。その相手は、十年前に命を助けてくれた恩人・ルシアンだった。
恩返しがしたいと長年想っていたエメは、二つ返事でその婚姻を受けたが、嫁いだ先で本人の口から言い渡されたのは契約結婚、それも条件は「魔力が暴走した際は自分を殺せ」というものだった。
いくら命の恩人の頼みといえど無理だと即座に断るエメだったが、条件を受け入れなければ結婚は白紙だと言われ、渋々その場で承諾したけれど…。
「私には、命の恩人である貴方を殺すことは出来ません」
「…出来ないと言うのなら契約不履行で今すぐ離婚だが?」
殺されたい辺境伯と殺さず助けたい侯爵令嬢、翻弄される運命を持つ二人の契約結婚の行く末は。