広大な砂漠が広がり、塩の大地「那須塩原」木材が得られる山蛭の森「丹沢ヒルズ」奴隷から小判を産する「サド金山」といった様々なダンジョンからもたらされる産物により、人々が江戸時代程度の生活を営む世界。
「足立」砂漠に誕生した図書館都市ダンジョン。それは、様々な異世界から億を超える書籍や無数の雑誌・新聞等を召喚するダンジョンであり、この世界の神話・伝承・冒険記から創作物語や詩歌まで様々な情報を集積・書籍化する図書館であり、学者達をはじめとする多数の住民が生活する都市である……はずだった。
しかし、ダンジョンマスターは修士(マスター)という設定なのにダンジョンシステムの英語をきちんと読まず、「司書」という単語を失念した挙げ句に英語表記の「ライブラリアン」を競走馬の名前と誤認し、無理矢理「紫蘇(シソ)」という種族(六道の1つ、植物の要素を持つ「修羅」の一種)ローズマリーの秘書を召喚してしまう。さらに、ダンジョンモンスターの経歴設定の規準に、召喚コストが安いという理由で司書課程が無い大学の図書館を複製召喚したため司書の入手自体が出来なくなる。
召喚可能なモンスターは事実上、紫蘇ファミリーの修羅とマスターの眷属のみ。入手可能なアイテムはダンジョン自体を稼働させるための水と電力、修羅や眷属の食料肥料等消耗品、異世界の図書館及びその蔵書・備品のみ。ムック本や分冊百科の付録で補うにも限界がある状態。書籍はあっても生産設備が伴わないため、現代文明の導入も制約される。
こうして「図書館都市ダンジョン」は、本を焼き、人まで焼き、人間のみならず餓鬼(鉱物界の種族)畜生(動物界の種族)修羅(植物界の種族で、修羅道は光や水と言った共通の資源を奪い合う戦いの世界)など六道の様々な勢力と争いを引き起こし、一方で隣接する「入間」の代官や目先の利く商人とは手を結び、狐狸や河童からナマズや五位鷺まで様々な種族を取り込むことで、図書館とは全く異なる存在に変貌を遂げる。それは、図書館の建物を何千も積み上げ屋上に世界樹を戴く天にも届く塔と、大地に広がる百万町歩の水田を持つ都市であった。
(11月は日曜・水曜・金曜の5:00投稿予定)