“死神”――その名を聞けば誰もが魂を刈り取る冷酷な存在を思い浮かべるだろう。
だが、この世界の死神は少し違う。
魂の最期に寄り添い、想いを受け止め、成仏や転生へと導く“案内人”。
冥界の片隅にある《死神相談所》。
所長・十六夜(いざよい)は、刃ではなく言葉で――魂に寄り添い続ける死神。
そこに一つの魂が訪れる。
死してなお「誰かを救いたい」と願う少女、暁星緋音(あけほしひのん)。
彼女に手を差し伸べた十六夜は、静かに問いかける。
『キミは、どんな結末をお望みかな?』
生と死の狭間で紡がれた縁。
夜を超えて魂を導く死神と、黎明の光を宿す少女の、長い夜明けの物語が静かに幕を開ける。