平民だった少女、アルフィナは勇者に選ばれた。
そして彼女は女を捨て、男装をし、男として『勇者アル』となった。
アルは仲間と共に二年と言う時間を日にちをかけて、魔王を討伐する。
魔王を討伐した事で、世界に平和が訪れる。
勇者となったアルにも安らぎが与えられるはずだった。
仲間である聖女、サルサの裏切りにより、アルは勇者ではなく、罪人となってしまった。
勇者は国の第二王子であり、サルサの兄でもある男、ブレインが勇者として崇められ、本物の勇者だったアルはいわれのない罪状として投獄される。
それから1年――もう一人の仲間であるキーファがアルを助け、牢獄を脱出する。
投獄されていたアルは衰弱しており、勇者と言われていた面影すらなかったのである。
「行こうアル!」
「ああ、キーファ」
キーファは新たな冒険を見せる為に、アルに手を伸ばす。
アルは静かに、キーファの手を取った。
これは感情を失い、笑わなくなってしまった元勇者、アルと笑顔が見たい魔術師、キーファの新たな冒険を始める物語である。