明治時代。
雪深い北国で行われた、陸軍による雪中行軍演習。
その最中に起きた、史実では悲劇として知られる出来事。
もし、その場に「結果を知っている者」が存在していたら、
その凄惨な結末を変えられるのだろうか。
現代日本で生きていた主人公は、気がつくと明治期の陸軍少尉として、
八甲田山雪中行軍演習に参加していた。
自衛隊経験も、特別な身体能力もない。
あるのは、後世に伝えられた記録と、失敗の理由を知っているという事実だけ。
演習を中止する権限はない。
上官の判断を覆すこともできない。
それでも主人公は、準備を整え、判断基準を示し、
現場の兵たちとともに「死なないための選択」を積み重ねていく。
物資の扱い、夜営の方法、撤退という考え方。
史実では軽視され、結果として多くの命が失われた要素を、
一つずつ現実に落とし込んでいくことで、行軍は少しずつ史実とは異なる道を辿り始める。
そして、誰一人欠けることなく、生きて帰るという結末を目指す物語。
※本作は、実在の事件・人物をモチーフにしております。
ですが、内容はフィクションであり、史実そのものを描写・再現するものではありません。
※登場人物の行動や判断、結末は創作上のものです。
※八甲田山雪中行軍遭難事件は、1902年(明治35年)に発生した実在の出来事であり、多くの方々が厳しい自然環境の中で命を落としました。
本作は、その史実を軽んじる意図はなく、当時亡くなられた方々への追悼の意を込めて執筆しています。