王宮記録局で働くエリナは、婚約者から「数字を書き写すだけの役立たず」と呼ばれ、舞踏会の場で婚約を破棄された。
彼女は言い返さなかった。
ただ、宴の支出記録に残された、あり得ない日付を見つめていた。
それから三か月後、王都を深刻な小麦不足が襲う。ところが、すべての帳簿には必要な量が届いたと記されていた。
誰もが凶作を疑う中、エリナだけが気づく。
小麦の量は同じなのに、それを運ぶ馬車が年々少なくなっている――。
消された古い帳簿と、記録されなかった一日。
「役立たず」と捨てられた記録係は、数字の向こうに隠された王国最大の不正を追う。
これは、価値がないと笑われた記録によって、ひとりの女性が王国と自分の未来を取り戻す物語。