目が覚めたら、乙女ゲームの世界だった。
悪役令嬢に転生——ではなく、その母親に。
娘の名前はアリシア、五歳。今はまだ、身分が高いだけの普通の子供。
けれど知っている。このまま何もしなければ、この子は高慢な令嬢に育ち、十五歳で断罪され、処刑される。
原因は分かっている。
この家には何もない。母は娘に無関心、父は家庭に不在、教育は歪んだ使用人任せ。誰にも愛されずに育てば、あの結末に辿り着くのは必然だった。
だったら、変えるしかない。
まずはこの子に、ちゃんと「お母さん」をやるところから。
——ところで、政略結婚で無関心だったはずの夫が、最近やけにこちらを見ている気がするのは気のせいだろうか。
処刑エンド回避のための子育て奮闘記、ときどき夫婦再構築中。