目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となってしまった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
(姿が変わっても、貴方なら私だって気付いてくれると信じていたのに……)
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちていく。
(あぁ……神様。もしも生まれ変われるとしたら、今度はこの人に一切関わらないで、モフモフの動物達に囲まれながら……穏やかに過ごしたい……わ……)
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考はそこで止まり、永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の問い掛けに、私が選択したのは――
※他小説投稿サイトにも掲載しています。