王と実父の陰謀により、公爵令嬢アルベルティーヌは十五歳の若さで老王の妃とされた。全ては幼い王子フレデリクを王太子に就けるためだったが、フレデリクはアルベルティーヌを『偉大なる祖父王をたぶらかした悪女』とさげすみ、徹底的に忌み嫌った。
老王の死後、アルベルティーヌはフレデリクや彼に追従する貴族たちに『悪女王太后』とさげすまれながらも王太后として後見役を務め上げた。そして尽力の末、フレデリクは宗主国たるグエル帝国の皇女を妻に迎え、即位することが決まる。
だが皇女の輿入れの日――やっと王太后から解放されると思った瞬間、帝国の船から降り立ったのは花嫁ではなく紅蓮の炎をまとう美丈夫だった。
「俺は立派になったでしょう? 今度こそ、ティーヌの犬にしてくださいますよね?」
帝国を護る神獣イグニアディスに抱き締められた瞬間、アルベルティーヌは不遇だった前世と、彼女の犬になりたいと熱望した少年を思い出す。
楽隠居希望のアルベルティーヌがイグニアディスの包囲網を逃れようともがく一方、真実を知ったフレデリクと『悪女王太后』をさげすんできた貴族たちは絶望のどん底へ落ちていく……。