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取得日時> 2026-04-03 17:09:04
式部省の呪詛係
 平安京。
 中流貴族ながら才覚に恵まれ、若くして検非違使尉となった藤原真薫は、ある高官の不審死事件を担当する。遺体や現場を丹念に調べた真薫は、死因が呪詛ではなく毒殺であり、背後に貴族社会の権力争いがあることを突き止める。
 しかし、上層部が求めていた結論は「呪詛による怪死」だった。真実は政治的に都合が悪すぎたのだ。
 真薫は「空気が読めない」として疎まれ、検非違使庁を追われる。官位を大きく落とされ、式部省少録として怪異雑掌――通称「呪詛係」へと左遷される。
 呪詛係の仕事は、怪異や呪詛を理由に事件を処理し、波風を立てない報告書を作ること。そこに真実は求められない。
 それでも真薫は諦めなかった。表の報告書とは別に、事件の真相を記した裏帳簿を密かに作り、積み重ねていく。いつか、この記録が意味を持つ日が来ると信じて。
 呪詛係で真薫が組まされることになったのは、陰陽寮の異端児・安倍定明。
 政治的な「呪詛」の認定には興味を示さず、本物の怪異や怨霊の存在を誰よりも重く見る陰陽師だ。陰陽寮が「呪詛ではない」としたい案件でも、「確かに怨霊はいる」と口にしてしまうため、厄介者扱いされている。
 理で怪異を否定しようとする真薫と、理屈よりも現場の異変を信じる定明。
 考え方は正反対だが、二人は次第に気付いていく。
 都で起きる怪異の多くは、人の恐れと欲が生み出した偽物だが――中には、決して見過ごしてはならない「本物」が紛れていることを。
 呪詛と政治、真実と都合の狭間で、真薫は問い続ける。
 正しさは、いつ報われるのか。
 そして、真実を知ることは、誰のためであるのかを。

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