魔力を持たない貴族令嬢エリナは、ザヴィールウッドを治めるルドガー・フレイザー公爵に嫁ぐ。夫は貧民街の娼婦を真実の愛の相手とし、妻は子どもを産む道具と公言していた。一夜の契りで妊娠したものの、騎士団長でもある夫は愛人の家で暮らし、妻を顧みなかった。出産の際生死の境をさまよったエリナは、自分が前世で夫に殺され、二度目の人生を生きていることに気づく。難産の末に生まれた息子セドリックに対し、前世でひどい母親だったことを悔いたエリナは、今度こそ息子を大切にすると決心した。夫は相変わらず妻子と関わろうとしなかったが、息子が4歳になった年、突然エリナに、自分と愛人が育てる第二子を産めと要求してきた。エリナはそれを拒否し、息子を連れて夫のいる王都を離れ、公爵領の精霊の森近くにある館へ移った。口さがない者たちから負け犬と揶揄されながらも、エリナは公爵領の運営につとめるかたわら、精霊たちの加護を獲得し、夫に従属せずに生きていくために強くなろうと努力する。前世で夫に殺される事件が起こったのは、息子のセドリックが騎士団に入団する12歳の時。その凶変を回避しようと、エリナは周囲のさまざまな助けを借りながら、前世でたどった運命を変えていく。大切な宝物である幼い息子を守るために。
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