「お前は必要ない。目障りなんだ」
魔導文明が栄える帝国オラトリオ。Sランクパーティ《スケルツァンド》で演奏家として共に戦ってきたカノンは追放された。
――俺の居場所はもうどこにもない。
かつて自分を拾い音楽を教えた恩人レガート。その仇を討つため、俺はダンジョン最深部を目指していた。
だが、俺の前に現れたのは誰からも才能がないと言われた演奏家の少女たち。
パーティから捨てられ、自信を失った姿に自らを重ねる。
「君の音は誰にも真似できない。俺と一緒に演奏しないか」
一人では奏でられない音。
一人では届かない力。
それぞれ異なる楽器を持つ仲間たちが集まり、重なり合う音は、やがて一つの巨大な音楽へと変わっていく。
その中には、かつて一人の少女だった頃、カノンの演奏を聴いて「自分も世界中の人に元気を届けたい」と願った歌姫の姿もあった。
最後に奏でる曲は――。
恩人を奪った、あの怪物へ捧げる鎮魂歌。