この世にいる人間は必ず死ぬ。だが、死ねない男がいた。かつて魔法を科学として解釈し、時代に淘汰された錬金術師、ウラド。彼は人の存在しない地「メテロトロン」を目指し、孤独に旅を続けていた。人を嫌った彼が出会ったのは、人に忌避される獣人の少女ティナ。彼女は孤独を恐れていた。
彼らは長い旅の道中、畝る歴史に巻き込まれていく。そして、その中で生きる人を見た。
−–−–−なぜ生きてしまったんだ。
−–−–どうして1人に。−–−どうして恨んでくれない。
−–−–ただあなたには、生きてて欲しい。
——なぜ人は争い、なぜ滅びを繰り返すのか。そして尚人に願いを託し、罪を背負ってでも生きるのか。彼はかつて幸福を願い、そして裏切られ、絶望を感じた人間達を見る。長い生の果て、人を嫌い、死を願っても死ねない男は、その答えに向き合わなくてはならない。
これは、生と歴史、そして魔法の物語。
死ねない男の終わりのない旅の一節。
【見ろ】
絶望であり希望であるものを。
*この物語はフィクションです。あらゆるものに対して、一切の悪意、関係性はございません。