向かい合い、相手の目を見る。じっと見つめる。
そうすると、その人の見た夢に落ちる。
夢を読むことが出来る───
それが、灯里の秘密だった。
そんな特殊な能力のために、見たくもないものを見てきた。知らなくていいことを知った。
誰かの夢を見ないように、
余計なことを知らずに済むように。
灯里は人と関わることを避けるようになった。
親しい友人はいらない、恋人もいらない。
腐れ縁の友人・壱己とは時々体を重ねるけれど、それは単なる憂さ晴らし。それだけ。
このままずっと、一人で生きていこう。
そう決めていた。
けれど灯里は、出会ってしまう。
どれだけ見つめ合っても夢が読めない、あの人に──