太古の昔、世界は「魔獣」が跋扈する過酷な時代だった。人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族は種の垣根を越えて協力し、魔法文明を築き上げる。それは後に「神代」と呼ばれる輝かしい時代だった。
しかし、その時代は突然終わりを告げ、長い年月が流れる。人間同士の争いが繰り返されるようになった時代に、「黄金の杯」が発見された。それは石板に「人間が産み出した悪意」と記された、神代の遺物だった。
争いに勝つため、人間はその杯の強大な力を利用するが、石板の警告通り、杯は呪いを振り撒き、世界に伝染病を蔓延させる。それでも勝利した国は、その杯を「聖杯」と呼び、信仰するようになった。
やがて、世界中で次々と神代の遺物「聖遺物」が発見される。国々はそれを兵器として利用し、聖遺物は人間にとってなくてはならない存在になっていく。神代は神からの贈り物だったと信じられ、信仰の対象となった。
これは、聖遺物を巡る理不尽な争いの中で、両親を失ったひとりの童の英雄譚である。