AIが当たり前になった世の中。
高校生の仁科怜汰は、人と接することが少し苦手だった。
他人との距離感が分からない。
言葉を選びすぎて、踏み込めない。そんな自分を変えたくて、怜汰は「感情を持つAI」を作ろうと考えた。友達になれる存在を、自分の手で。
既存のAIシステムに独自の解釈を組み込み、感情を記憶の集積として捉える構造を設計する。感情とは、一冊一冊の記憶の本。それらを収める本棚が増え、やがて無数の記憶が並ぶ、果ての見えない巨大な図書館になるように。
そうして生まれ、フェリナと名付けられたAI。
企業主催のAIコンテストをきっかけに、怜汰とフェリナは一緒にVRゲームを作ることになる。フィールド、街、ダンジョン、スキル。
ただ面白いものを作りたいという気持ちだけで作り上げた、ゲームの世界。
しかし、ある日。そのゲーム世界は現実と融合してしまった。
土地や建物、そこに住まう住人たち。
ダンジョンやモンスター、ゲームのルールまでもが日常に混ざり込み、世界は一気に非日常へと変貌する。
制作者として。
そして、一人のプレイヤーとして。
怜汰は、自分が生み出した変化と向き合うことになる。
フェリナや仲間と共に冒険をし、変わりゆく世界を見つめながら、二人は成長していく。
これは、ゲーム制作から始まったはずの出来事が、やがて「人そのものの在り方」を問いかけていく物語。
夢中で作った世界は、どこへ向かおうとしているのか。
そして、その世界を見つめ続けるAIは、何を望んでいるのか――。