帝都の片隅にある士族の屋敷、そこの粗末な離れで、紅子はひとりきりで暮らしていた。赤い左目ゆえに家族に疎まれていた彼女は、家を出て新たな生き方を探すため、日々帝都をさまよい歩くようになった。
ある日、紅子は金色の目を持つ華族の青年、晴臣と出会う。「やっと、お会いできた」涙ながらにそう告げる彼の姿に、彼女は前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、晴臣を従え、あやかしと戦っていた。晴臣は何度も転生しながら、ただひたすらに彼女を探していたのだった。紅子の現状を知った晴臣は、彼女を守り、幸せにしたいと言って自分の屋敷に連れ帰る。
以前とはまるで違う、何もかもが目新しい暮らしを楽しみつつも、紅子の胸にはとまどいも生まれていた。前世の自分は、何かやり残したことがあるのではないか、そんな思いがこみ上げてくるようになっていたのだ。
彼女はその思いに突き動かされるようにして、前世の記憶の手がかりを探し始めた。しかしそれをきっかけとして、ふたりの関係はぎこちないものになってしまう。
前世のことなど忘れて幸せになってほしいと望む晴臣、前世の心残りを片付けなければ幸せになれないと思う紅子。
そうしてすれ違うふたりに、前世の因縁は容赦なく忍び寄っていくのだった。