経営会議で異論を唱えた日の帰り道、地下鉄で居眠りしたら、王国財務省の官僚レオン・バルドとして目を覚ました。
王国財務省で不正会計を告発したレオンは、権力者たちに疎まれ、北方の辺境領へ追放された。そこは誰もが「死んだ領地」と呼ぶ場所だった。
税収は年間銀貨八枚。食料備蓄は三日分。住民は逃げ出し、魔物が徘徊し、借金だけが積み上がっている。
だがレオンには前世の記憶があった。経営企画部長として十五年間、赤字事業と不採算拠点を立て直してきた知識と経験が。
「この領地は潰れたんじゃない。放置されていただけだ」
剣も魔法も使えない。だが数字は読める。
マーケティングを駆使したゴブリン討伐。
数字と人情で、金が回る仕組みを作る。
三年後。腐敗した王国が気づいたときには、もう遅かった。
これは、権力に抗った「邪魔者」が、数字で王国をひっくり返す物語である。