経営会議で異論を唱えた日の帰り道、地下鉄で居眠りした。次に目を開けたとき、俺は王国財務省の官僚レオン・バルドになっていた。
三年後。消えた四万七千食の不正会計を告発したレオンは、その罪を着せられた。
証人は、隣の席で「報告しろ」と言った男。そして三年間そばにいた部下だった。
官服を剥がされ、私物を没収され、裏門から放り出される。与えられたのは、誰もが「死んだ領地」と呼ぶ北方辺境。年間税収、銀貨八枚。食料備蓄、三日分。そして金貨十二万枚の借金は、赴任と同時に個人へ移る。
剣も魔法も使えない。だが、数字は読める。
「この領地は潰れたんじゃない。放置されていただけだ」
逃げ場のない男が、数字で辺境を立て直す。
やがて、腐敗した王国が気づいたときには、もう遅い。