婚約破棄――それは不幸ではなく、幸いのもとだったのかもしれない。
「クロエ・スティード公爵令嬢、俺はお前との婚約を破棄する!」
スチュワード王国の第二王子、ルイが公の場でクロエに宣言し、隣にいる女性の腰を自分の方に引き寄せる。それを見ていた周囲はザワつくが、微動だにしないクロエは快く承諾しなぜか笑顔で二人を祝福し、代わりに約束を告げる。
「私のことは何一つ干渉しないでくださいませ」
「例えどんなことがあっても……」
淡々と笑うクロエの意図に気づかないルイとその婚約者はクロエの発言に了承する。その様子を見たクロエは公の場を後にし帰宅する……が、この婚約破棄はクロエが望んでいたことだった。
帰宅したクロエは激怒する公爵に初めて見せる実力で釘を刺し、その後誰にも言わず家を飛び出し隣国へ向かった。
婚約破棄された公爵令嬢クロエの第二の人生は――冒険者への道に歩み進める。