夏の湖――水鏡湖。
昼間は鏡のように美しいその水面も、夜になれば、暗い影を湛える
映し出されるのは、甘い未来か、それとも――
地元の古老だけが口にする、二つの“話”がある
ひとつは、日ごとに水位が変わる「湖水の引き日」
もうひとつは――かつてこの湖が、いらない者の捨て場だったこと
行方不明になった先輩を探すため、佐伯悠真と友人たちは湖畔のキャンプ場を訪れた
だが、笑い声が消えたのは、誰かが湖に指先を触れた、その夜だった
水面に映るものは、美しく、そして残酷
次々と仲間が湖に引きずり込まれる中、悠真は知る
湖は触れた者を喰らう・・・
――誰も逃れられない、水鏡湖の夏の恐怖