清らかな聖女イレイナ・ハングレイスには、神の声が聞こえる。
だからこそ、彼女は知っている。
寄付金を盗めと、神は言っていない。
人の過去に値札をつけろと、神は言っていない。
少女の名前を消せと、神は言っていない。
人間を餌にしろとも、もちろん言っていない。
では、神の名を騙って好き勝手している連中はどうするか。
答えは簡単。
証拠を押さえ、帳簿を開き、逃げ道を塞ぎ、奪ったものを耳揃えて返してもらう。
「主はお赦しになるでしょう。ですが、私は赦しません」
これは、信仰心の薄い聖女が、神の声を聞きながら、祈るより先に悪党を詰めていく話。