王都から離れた領地に引きこもって暮らす侯爵令嬢ルルーシャには、怖いものが3つある。
一つは、優しく頼りになるがいつもルルーシャを振り回す、魔王のような兄。
一つは、夜の暗闇。
そして最後の一つは、犬。
その中でも、白い犬がとりわけ大の苦手だった。
そんな彼女は、成人を迎えてすぐ、王都に離れて住む兄に呼び出された。
「喜べ、妹よ。優しいお兄様からの成人祝いだ!」
悪い笑みでそう言う兄が用意した祝いの品とは、突然連れてきたルルーシャのための婚約者、美しい青年騎士フィオグラウスだった。
しかし実はフィオグラウスは白狼の獣人で、犬が怖いルルーシャは、彼の狼の耳としっぽを見て「無理です!」と泣いて逃げ出してしまう。
だが無情にも、兄からは「新しく同盟を結ぶ獣人国との友好の証として、結婚しろ」と言われ受け入れるしかない。
「とりあえず、半年後の同盟を記念した祝賀会までに、婚約者らしい距離感になれ」と命令され、兄が納得する「仲睦まじい婚約者」の距離を目指すため、ルルーシャとフィオグラウスの触れ合い猛特訓が始まった!!
恐る恐る、だが少しずつ距離が近づき始めると、まさかのフィオグラウスから追加のおねだり攻撃が。
「お願いします……どうか、もっと撫でて下さい」
美麗な獣人騎士に甘い視線でお願いされ、ルルーシャの心臓は爆発寸前。
このドキドキの原因は、怖さ?
それとも恋?
ルルーシャに隠れ、兄とフィオグラウスは過去のある事件の犯人を探しているようで──。
なぜか犬が怖くて推しに弱い侯爵令嬢と、彼女への恋心を隠しつつどうしても撫でられたい獣人騎士の、恋のお話です。
※カクヨムにも掲載しています。