「これだから異世界転生は……コンプラ意識が低すぎるんだよ」
校倉青空(あぜくら・そら)、42歳。大手ラノベレーベル「空想文庫」の鬼編集長。
論理と整合性を愛する彼は、昨今の「設定がガバガバな異世界ブーム」に辟易していた。
そんなある日、彼は残業中のオフィスから強制転移させられる。
召喚主は、チャラくて適当な創造神・エディット。
「俺が作った世界、バグだらけでさ〜。プロの視点で『校正』してきてよ」
行き先は、重厚なハイファンタジーの世界観……に、安っぽいステータス画面やご都合主義な展開が混入した「欠陥世界」。
青空は、神から与えられた【編集権限】と、持ち前の【論理的思考】を武器に、世界の矛盾(バグ)を修正(リテイク)していく。
「魔力ゼロの劣等生? 測定器のJIS規格を確認させろ」
「悪役令嬢の断罪? 名誉毀損で訴訟を起こす」
「魔王討伐? コスト対効果が悪い。平和条約を結んで経済圏を作れ」
これは、異世界を救うつもりが全くない編集長が、職業病で「ダメ出し」を繰り返した結果、なぜか救世主として崇められてしまう、不本意な英雄譚。
※仕事が終われば、ちゃんと現世(定時)に帰れます。