「全ての戦争を終わらせる為の戦争」
もしもそれが史実よりも10年遅かったら...
――1924年(大正十三年)、欧州に戦火が上がる。旭日の軍艦旗は、遥か西の海へ。
1914年、欧州を震撼させたサラエボ事件。しかし、列強諸国の外交努力によって大戦の危機は回避され、世界は束の間の平和を手にした。
しかし、火薬庫の火種は鎮火していなかった。
それから10年。各国は軍備拡張を続け、欧州には史実を遥かに凌ぐ強大な艦隊が出現していた。
そして1924年(大正13年)、ついに列強間の均衡は崩壊。ドイツ帝国を中心とする中央同盟国と、イギリス・フランス・ロシアを中心とする協商国との間で、第一次世界大戦が勃発する。
日英同盟に基づき参戦を決意した大日本帝国は、英国政府からの要請を受け、帝国海軍主力艦隊の欧州派遣という前代未聞の大遠征を決断する。
戦艦「長門」「陸奥」、新鋭戦艦「加賀」「土佐」、巡洋戦艦「天城」「赤城」――。
史実では軍縮の波に消えたはずの巨艦を含む帝国海軍の精鋭が、遥か一万海里の彼方、欧州の戦場を目指して出撃する。
待ち受けるのは、世界最強を誇る英国大艦隊との共同作戦、強大なドイツ大洋艦隊との死闘、そして近代海戦の常識を覆す新兵器の数々。
異国の海で戦う日本の将兵たちは、何を守り、何を失うのか。
これは、史実より10年遅れて勃発した世界大戦を舞台に、極東の島国から欧州へと派遣された帝国海軍将兵の栄光と苦悩、そして激動の六年間を描く、もう一つの歴史の物語である。
――もしも、第一次世界大戦が10年遅く始まっていたならば。
歴史に存在しなかった帝国海軍の欧州大遠征が、今、幕を開ける。