傷ついた翼で、極寒の大陸に墜ちてきた一体の飛竜。
その背には、世界の中心「中央領域」から逃れてきた少女、リアネスがいた。彼女が携えてきたのは、自らの故郷が犯した大罪――世界の生命線「竜脈」を独占し、十三の大陸を緩やかな死へと追いやっているという、禁断の真実だった。
しかし、彼女の告発の旅は始まりと同時に頓挫する――伝説の「ひねくれの魔女」が、彼女の前から唯一の希望である飛竜を奪い去ってしまったのだ。
全てを失った彼女を救ったのは、自他ともに認める器用貧乏、『格闘以外は、だいたい人並み以上』の魔水晶工イルアンであった。かつて故郷である隣の大陸を追われた彼は、帰郷の糸口をつかもうと、少女の旅に帯同を申し出るが…
◆待ち受ける、人知を超えた存在たち
・人を乗せて大陸間を翔ける、伝説の飛竜。
・森を守護し、火を憎む巨大な猛禽類。
・航路を支配し、大陸間の行き来を遮断する海の巨獣。
・大陸中に根を張り巡らせる魔草
◆交錯する英雄たち
・請われては動かない、達観したひねくれの魔女。
・大陸の調和を願い、全てを背負いこむ調律の英雄。
・「厄災の子」と恐れられ、主君に絶対の忠誠を誓う少女剣聖。
・国を捨て、自由を求める奔放な魔法王女。
・悲劇の中で大勇者となることを決めた少年。
・歴史の真実を追い求め、全てを計略にかける天才軍師
王道冒険活劇に、重厚な戦記物と知的興奮に満ちた歴史ミステリーが融合した、壮大な叙事詩(エピック)ファンタジーが、いま幕を開ける!