世界の傷を各地の職人が分担して塞げるようになった後、解体師・真壁巧は防波堤の『まかべ食堂』本店で深夜の寸胴を守り、恋人の天宮凛は『二号車』で生姜粥を仕込む日々を送っていた。
そこへ持ち込まれたのは、安定したはずの迷宮層から上がる『還流期』の魔獣肉。空気に触れて三十分で硬化する還流猪の琥珀膜、自動ラインから弾かれる風切り迷宮鶏の硬い銀皮と二重腱、若手職人の手首を脅かす鉱脈鹿の深腱、そして機械切りと手捌きの線引きが問われる双層雷牛。
巧は使い慣れた包丁と研ぎ、支点送り切りの技術で厄介な素材の壁を解き、一皿五百円の生姜焼きや牛皿、温かな出汁へと変えていく。二号車で凛と並び立つ料理人・伊吹透、研ぎと工房を守る鳴海蓮司、包丁設計の佐伯湊、検査官の久世誠司、手元と図解を届ける白瀬こはくの配信。それぞれの持ち場と確かな手仕事が噛み合い、廃棄されるはずだった命が働く人々の血肉となっていく。
※本作は前作『クビになった解体屋のおっさん』(全76話完結済)のその後を描く第2作(続編)です。前作の既存第二部(第37〜76話)とは別作品であり、前作既読を推奨します。
前作はこちらです。
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