世界最深部、ダンジョン地下99階。
瘴気と魔物が渦巻く絶望の地に、なぜか一軒の**コンビニエンスストア『ダンジョンマート』**が営業していた。
そこで働く大学生バイト・タナカにとって、世界の命運などどうでもいい。
大事なのは「シフト通りに帰ること」と「廃棄弁当を確保すること」だけ。
ある日、ついに人類の希望・勇者が店に突入し、常連客である魔王(ジャージ姿)と鉢合わせる。
始まるはずだった最終決戦。
しかしタナカは、震えることもなく言い放った。
「あー、暴れるなら外でやってくれません?
今から揚げ物の清掃入るんで」
勇者の聖剣よりも「値引きシール貼り機」を構え、魔王の極大魔法よりも「業務用換気扇」を駆使する男。
彼が差し出す**「廃棄寸前のホットスナック」**の暴力的な旨味は、殺伐とした魔物たちの胃袋を鷲掴みにしていく。
計算ができないサキュバスをバイトに雇い、クレーマーのミミックを黙らせ、時には神話級のドラゴンにチキンを売る。
これは、世界で一番過酷な場所で、世界で一番やる気のない店員が送る、時給980円の労働英雄譚。