『誰かがログアウトする前に。〜VTuber黎明期から、激動の界隈でただ一人、この世界から「落ちなかった」男の物語〜』
「俺だけは、絶対にマイクの電源を切らない。――それが、俺の通す最後のスジだ」
2018年。後に「VTuber元年」と呼ばれることになる、狂騒の時代。
星の数ほどのアバターが産声を上げ、そして、その数倍の夢が誰にも知られず、ひっそりとログアウトして消えていった。
都内のボロアパートに住む貧乏大学生は、軽い下心から金髪イケメンのアバターを被った配信者『ゼン』として活動を始める。
機材は安物、夕飯は十九円のモヤシ、同接はたったの一人。
しかし、彼は決めていた。
自分を見つけてくれた「たった一人のダチ」のため、そして去っていく「戦友」たちの想いを背負い、どれだけ時代が変わっても、絶対にこの場所を閉じないことを。
これは、圧倒的な資本を持つ企業勢の台頭、理不尽な炎上の嵐、そして切ない引退の連鎖の中で、ただ一人「落ちなかった」男の物語。
「よっす。……誰もいねえのか?
なら、俺が朝まで喋ってやるよ。ここが、お前らの特等席だ」
VTuber黎明期の熱気と、ネットに魂を刻んだ男たちの、泥臭くて熱い8年間の軌跡。