それは突然だった、高卒で就職を機に上京した只野
優人は、全世界同時に発生したダンジョンの発生に巻き込まれてしまう。
同時多発的に起こった故の少なくない数の行方不明者。
その生還率は突然のダンジョンの発生による政府の混乱や、市民のパニックにより絶望的なものになっていた。
そんな中
優人は自力でダンジョンから帰還し、数少ない生還者というだけでなくその中でも突出した実力、能力を得ていた。
そんな彼を政府は放置しておくはずもなく、緊急事態を理由に新設されたダンジョン対策本部の実行部隊に抜擢される。
ダンジョンを攻略しつつ行方不明者の捜索等の仕事をこなしつつ、時には人を助け感謝され、時には理解のない人のクレームや上司の無茶ぶりに胃を痛めながら、気付けば12年、初期の混乱期を乗り越え、世間は少し変わりながらも日常を取り戻していた。
後進も育った、後のための教育機関も出来た、ならば…
「お世話になりました」
「ふぁ?」
これまで世のため、人のためとやってきたが流石に30歳、ここまで来たのならばそろそろいいだろう、怒涛の12年で疲れたから田舎でのんびりさせてくれ。
そう思い彼は退職届を上司に提出するのだった。