伯爵令嬢レティシア・ファルケンは、王太子エドガーから「役立たず」と婚約破棄されたその日、前世の社畜時代を思い出す。修道院送りの代わりに左遷された先は、極寒の辺境ノルドヴァルト公爵領。だが彼女にとってそこは、“雇用契約があり、給金が出て、職務が明文化された”理想に近い職場だった。低魔力のせいで無能扱いされていた彼女の希少魔法【契約修復】は、改竄された帳簿や壊れた約束を見抜き、本来の意図へ縫い直す力。未払い手当、悪質商会、王都の隠蔽、そして公爵家だけを削り続ける建国契約の呪い。無口で実直なルシアン公爵とともに、レティシアは“見えない負担”へ名前を与え、辺境の仕組みそのものを書き換えていく。これは、約束を呪いにしないための、地味で強い仕事と恋の物語。
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