小禄旗本の次男・榊原清衡は、文久四年、十二歳の時に前世の記憶を取り戻した。
彼が思い出したのは、インデックス投資、投資信託、格付け、長期分散投資、そして金融危機の知識。
だが幕末の日本には、近代的な株式市場も、投資信託も、証券取引法も、格付け会社も存在しない。
未来の勝ち株を覚えているわけでもない。
ならば、勝つ会社を当てるのではなく、勝つ会社が自然に残る仕組みを作ればいい。
明治維新で武士の禄は消え、金禄公債という紙へ変わる。
証券の意味を知らない士族たちは、公債を安く売り払い、怪しい事業に一発逆転を賭けていく。
清衡は横浜で学んだ相場表、為替、海外公債の知識を使い、まずは武士たちの最後の財産を守ろうとする。
公債だけでは足りない。
株式だけでは危うい。
国内だけでは狭い。
一つに賭ければ家が沈む。
ならば、少しずつ分けて持つ仕組みが必要だ。
これは、幕末に転生した一人の少年が、剣ではなくで、最後の禄を最初の資本へ変えていく物語。